福祉文化学科

福祉文化学科

見城 育夫

研究活動

 高齢者施設で介護のお仕事をしながら、施設に依頼のあった福祉関連の各種実習生の受け入れ担当も同時に務めていましたが、そのことを契機として、現場での介護業務もさることながら、実習教育の展開の仕方にも強い関心を抱くようになりました。受け入れ先の立場としては、限られた時間数の中でいかに効果的な実習体験を積んでもらうことができるのか、また、実習に送り出す学校の教育としては、実習の事前・事後を通してどのような教育が必要なのだろうかということについて、試行錯誤の中、研究活動を続けています。厚労省が定める指針に基づきながらも、実習生の固有性に着目して、様々な仕掛けを模索する日々です。また、実習教育の他にも、介護を取り巻く社会環境の動向、広く高齢者福祉、成年後見制度等にも強い関心を持ちながら今後の研究活動を進めていきたいと考えています。

吉川 麻衣子

研究活動
(1)沖縄戦体験者の臨床心理学的研究

琉球大学在学中より沖縄戦体験者との研究を続けてきました。沖縄戦体験者は,他地域と比べて戦争による心理的影響が大きいため,すさまじい戦争体験の記憶と想いを心の奥に綴じこめたままの体験者は少なくありません。一方で,人生の最期を迎えようとしている今,「これまで語ることができなかった自らの体験と戦後の想いを聴いて欲しい」と望む体験者も増えています。また,「自らの体験や想いを見える形で後世に残す」ことを望む体験者もいます。ひとり一人の語りを丁寧に聴き受け,整理していくことは人生の集大成における心理支援の一つです。戦争を体験してなお生きてきた方々のレジリエンス(力)に注目し,沖縄戦体験者の自発的な語りを主軸とした「見える物語綴り法」という新しい手法を開発しています。人生の先輩方の生き様からこれまで多くのことを教えていただきました。多くの方が逝去される中,ここ数年のうちにしか取り組むことができない課題だと痛感し,研究協力者に役立つ研究を続けています。

▲「人生の最期に向かう沖縄戦体験者との『見える物語綴り法』の共創に関する探索的研究」日本学術振興会科研費若手研究(B)(2013-2015年)

山代 寛

研究活動および教育活動

 1987年琉球大学医学部卒業後、鳥取大学第一外科(現在の病態病態制御外科学)に入局、食道癌、胃癌の研究グループに属して主に周術期の生体反応について研究する機会を与えていただきました。各地で外科研修後、外科医以外の様々な仕事も経験し、2008年自称日本初の禁煙学教授として沖縄大学に赴任いたしました。

 2011年3月に医師会災害医療班として東日本大震災の被災地大槌に赴き、翌月に沖縄学生らと再び被災地で被災者とふれあい、学生たちの成長を目の当たりにしたことは得難い経験でした。学生は専門の勉強はもちろん大切ですが、サークル活動やボランティア活動への参加は社会に出てからの大きな財産になりますし、学生の地域でのサークル活動、社会活動への参加をバックアップすることが教員の重要な仕事だと実感しています。

宮本 晋一

研究活動

 私はこれまで高齢化社会における高齢者の健康管理「健康寿命の延長」についての研究を一貫して行っています。それは日本の平均寿命は世界をリードし、世界的にも類をみないスピードで超高齢化社会に突入したことによるひずみを実証し,わが国における試行錯誤の政策に新しい方法論を発見する契機とすることです。

現在の視点は、平均寿命の伸びに隠れがちな人間自身の耐病率について注目しています。

 健康でいられる寿命(健康寿命)の延長の比較分析を通して、「生かされる寿命」の効果と限界について、高齢者福祉・老年学と健康科学との交錯する領域の研究をしています。

名城 健二

研究活動

 現在関心をもち取り組んでいる研究テーマは、いじめや虐待、ファミリーバイオレンス、貧困などの体験が精神疾患発症に与える影響とそれらを予防的に早期介入できるシステム作りである。早期介入という観点から、母子保健分野に関心を持っており、母子保健とソーシャルワークの融合ができないかと考えている。2013年度に1年間オーストラリアのメルボルンに滞在し、ビクトリア州の母子保健とファミリーバイオレンスサービス等のシステムを学ぶ機会を得た。そこで得た知見を今後の研究活動に活かしていきたいと考えている。

教育活動

 講義は新聞の切り抜きや資料を使用し、努めて学生の関心、刺激が高くなるように工夫している。社会福祉教育は実践教育であるため、私自身の実践経験を通し、学生が現場をイメージできるように努めている。また、ボランティアや施設見学などを可能な範囲で講義に取り入れ、社会福祉の実践現場を学生が体感できるようにし、講義内で現場の実践者や利用者を招き学生の学習意欲を高めている。

富樫 八郎

研究活動

 心身の重い病気や障害は、心理的・社会的な問題を引き起こします。医療機関の中で患者さんやご家族の生活とこころの支援を行う専門職を、医療ソーシャルワーカー(以下、SWと略記)と呼んでいます。私は、1978年~2002年までの24年間、関東地方のある公立病院のSWとして患者さんやご家族の相談支援に携わってきました。この経験から大学では、3つのテーマについて研究をすすめています。(1)患者さんやご家族への早期のソーシャルワーク(相談支援)介入に関する研究、(2)SWの実践力(特にSWの支援態度)に関する研究、(3)医療機関のSWの将来の在り方に関する研究などです。

教育活動

 大学では、「相談援助の理論と方法ⅠⅡ(ソーシャルワーク)」や「医療ソーシャルワーク論」などを担当しています。ソーシャルワーク価値・知識・技術を身につけた実践力あるSWを養成したいと考えています。

 また、福祉現場で働いている現任者を対象にスキルアップ研修にも携わっています。

所属学会

日本社会福祉学会、日本医療社会福祉学会、日本カウンセリング学会、他

学外活動

沖縄県社会福祉協議会理事(2010年4月~現在)

玉木 千賀子

研究活動

 人が生きる力を高めるための相談援助のありかたについて、特に高齢の人びとに焦点をあてた研究をしています。これらの仕事や研究への関心のはじまりは祖父母との生活体験にあります。

 私の両親は共働きで、幼い頃から一緒に暮らしている祖父母に面倒をみてもらい、多くの時間を過ごしました。祖父は私が小学生の頃には病気がもとで生活に手助けが必要な状態にあり、祖母が家で介護をしていました。はじめの頃、祖父は自分で歩くことができていましたが、次第に一日の大半を寝て過ごすようになり、意識のない状態になって病院で最期を迎えました。社交的で好奇心が旺盛だった祖母は、友人が多く、老人福祉センターの教養講座を楽しみにして通っていました。祖母は私が大学を卒業して間もなく、急性の病気のため短い療養生活を経て亡くなりました。このような祖父母との生活や別れの体験は、老いるということがその人や親しい者にとってどのような意味をもつのかということを考えるきっかけになり、いのちが終わりを迎えるまでの暮らしは、その人の考え方や家族などの周囲との関係によって変わるのだということを教えてくれました。

髙良 沙哉

研究活動

 私は、日本国憲法を専攻しています。特に平和主義、軍人による性暴力問題に取り組んでいます。

私は、小学生時代に初めて日本国憲法第9条の武力によらない平和主義に出会い、感動とともに強い憧れを抱きました。その後、1995年に沖縄において3名の米兵による少女暴行事件が発生し、武力によらない平和主義を掲げる日本国憲法の下で、沖縄がまだ米軍基地に占領され、軍人によって少女の性的自由が脅かされるという現状に憤り、私は、日本国憲法の平和主義と米軍基地問題との矛盾、軍人による性暴力の問題に取り組もうと決意しました。

 現在は、戦時の軍人による性暴力(戦時性暴力)や平時の駐留軍人による性暴力を、軍隊の持つ構造のために発生する構造的暴力であると考え、個々の加害者の責任追及だけではなく、軍隊や軍隊を運営する国家の責任を追及することを目的にして研究しています。特に、最近は、旧日本軍による戦時における性暴力、「慰安婦」問題について、戦後補償をしなければいけないという立場で研究をしています。また、軍事基地の問題の根幹にある、武力によって平和を創造しようという考えを否定して、軍隊によらない平和創造が、人間にとって真の安全を保障することになると考え、日本国憲法平和主義について研究しています。

砂川 恵子

研究活動

 私は、沖縄大学福祉文化学科の出身で大学卒業後は、千葉の大学院に進学し、児童学(児童福祉)について学びました。大学院修了後は、県外で母子生活支援施設や児童家庭支援センターの相談員として、児童虐待やDV問題に関する支援をしてきました。

 帰沖後は、専門学校の講師や2013年3月まで県下の社会福祉協議会でコミュニティ・ソーシャルワーカーとして勤務していました。

 大学の学部や大学院では、主に沖縄の児童虐待問題に関心を持ち研究をしてきました。社会人となってからは、ひとり親世帯の支援、ドメスティック・バイオレンスの被害者支援、地域における多問題を抱える家族の支援について研究しています。

教育活動

 2013年4月に着任し、社会福祉相談援助 実習指導Ⅰ・Ⅱ・Ⅲと相談援助演習Ⅰ、相談援助実習を担当。

所属学会

日本子ども家庭福祉学会、沖縄県地域福祉学会

論文
2006年 修士論文

  「沖縄の児童虐待に関する社会福祉学的研究―ネグレクトを中心として―」

下村 英視

研究活動

 高校生の時、滝沢克己とサルトルを読み、この世界に入りました。当時、カフカやカミュの文学作品――彼らは、人間存在の不条理を描いた――に触れておくことは若者のたしなみでしたが、私にとって、滝沢克己の著作は、それらとは別次元のリアリティをもって迫りくるものがありました。恐らく、それは、知識ではなく、知ろうとする者の態度に関わる知的な啓示のようなもの、と言うことができるでしょう。こんなに深く真実を追求している人がいるのだということを知った時の驚きは、今でもはっきりと覚えています。学び続ける者の姿勢をまだ高校生であった私に強く印象づけてくださったこの人に、一歩でも近づきたい。そう思って、40余年。私の研究は、今でも滝沢克己を目指して行われています。

ページ