矢島 秀和

研究活動

 私が研究する情報提供義務とは、情報量や交渉力において契約当事者間で格差があるときに、それらで優位に立つ者に対して、契約に必要となる情報を提供させる義務です。この義務が問題となることが多い契約の1つにフランチャイズ契約があります。フランチャイズ契約締結時には、本部であるフランチャイザーは、加盟店であるフランチャイジーに対して契約後どの程度儲かるのか、売上予測を提供するのが一般的です。しかし、予測通りの売上を上げられず閉店に追い込まれる場合があります。そうした場合に、フランチャイジーがフランチャイザーの情報提供義務違反に基づき損害賠償請求をして、被った損害の回復がなされます。もっとも、損害賠償請求が認められても、過失相殺がなされ、大幅に賠償額が減額されることは珍しくありません。そこで、わが国と同じくフランチャイザーの情報提供義務が問題となるフランス法に目を転じてみると、同義務違反を合意の瑕疵(錯誤・詐欺)に基づく契約の無効で処理する方法が定着しています。契約が無効になれば、ロイヤルティなど既払いの金銭が返還されるため、フランチャイジーは被った損害の回復をより適切に図ることができます。こうしたフランス法の方法は、フランチャイジー保護という観点からみると非常に示唆的です。そこで、フランス法を素材に、わが国のフランチャイズ契約における情報提供義務を研究しています。

教育活動

 私が担当する科目は民法です。民法は条文数にして1044条にもおよぶ膨大なものですが、単に条文数が多いのではなく、日常生活に密接に関わる事柄を規定していったら膨大な条文数になったと言えます。したがって、民法は皆さんの日々の生活に欠かせない法律なのです。そうした幅広い民法のうち、講義科目では、「民法財産法ⅠA・ⅠB」および「民法財産法ⅡA・ⅡB」を担当しております。先ほど述べたように、民法は1044条もの条文数を有しますので、講義科目では、「食わず嫌い」になってしまわないように、学生の皆さんにとって身近な事例を取り上げつつ、極力分かりやすく、かつ基本的論点を疎かにしない講義を心がけています。また、ゼミ科目として「問題発見演習Ⅰ・Ⅱ」「基礎演習Ⅰ・Ⅱ」および「3年次テーマ演習ⅠA・ⅠB」を担当しています。「問題発見演習」では法経学部での生活に適応できるよう、民法を中心に、法学の基本的考え方を身に付けてもらうようにしています。「基礎演習」では、基本的で読みやすい民法の本を輪読してゼミ生の皆さんと議論しています。そして「3年次テーマ演習」においては、具体的な事例を取り上げて報告をしてもらい、その報告をもとに議論を行うことで、民法を実践的に使えるようになってもらうことを目標にしています。

所属学会

日本私法学会、日仏法学会、末川民事法研究会、関西フランス法研究会

著書
  • ○小川富之・西内祐介・大川謙蔵編『ロードマップ民法入門』(2016年、一学舎)
    第4章「あこがれの一人暮らしー賃貸借契約をしてアパートを借りる」、第5章「桜の意思は強い?ー不本意な契約をしてしまったら」(分担部分は単著)
論説
  • ○「フランスにおけるフランチャイズ契約(1)」法と政治第64巻3号357‐400頁(2013年)
  • ○「フランスにおけるフランチャイズ契約(2・完)」法と政治第64巻4号233‐277頁(2014年)
  • ○「フランチャイズ契約締結過程における情報提供義務違反の判断要素に関する一考察ーフランスにおける議論を通じて」法と政治第65巻4号259‐309頁(2015年)
  • ○「フランチャイザーの情報提供義務違反と合意の瑕疵との関連性ーフランスにおける議論を参考に」法と政治第67巻1号407‐473頁(2016年)
判例研究
  • ○「コンビニエンス・ストアのリロケイト物件に関するフランチャイズ契約において、フランチャイザーのフランチャイジーに対する保護義務(説明義務)違反による損害賠償請求が認容された事例」法と政治第65巻4号359‐371頁(2015年)
  • ○「商品先物取引被害における不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算点」法律時報88巻7号107‐110頁(2016年)
所属: 
氏名: 
矢島 秀和
氏名アルファベット: 
YAJIMA Hidekazu
写真: 
専攻: 
民法(情報提供義務、フランチャイズ契約)
最終学歴: 
関西学院大学 法学研究科 博士課程後期課程 単位取得満期退学 修士(法学)
モットー: 
我以外皆我師、侃々諤々