若林 千代

研究活動

 沖縄現代史、とくに米軍支配下の歴史を問い直す作業に軸足をおき、沖縄を含めた〈地域〉の歴史、〈アジア〉の歴史、20世紀の国際関係を探究してきました。沖縄に関心を寄せるきっかけは、学部学生時代に受けた「日本近代史」という授業でした。私は二人の教員から講義を受けました。一人は帝国主義日本支配下の台湾近代史を専門とする台湾人、もう一人は朝鮮現代史を専門とする朝鮮人の教員でした。いわば日本中心の視点で「日本近代史」を見るのではなく、他のアジアの人びとの経験や意識から「日本近代史」を学ぶ、あるいはto unlearn、既得の知的習慣を一度捨て去り、「他者」の視点から学び直す作業をするということができるでしょう。視点が複数化し、立体的で重層的な〈アジア〉、〈アジア〉のなかの日本や近代の問いが浮かびあがります。この講義のなかで、琉球処分がアジアの歴史においてどのような同時代性をもつのか、琉球を〈アジア〉のなかに位置づけることの意義など初めて学びました。担当教員は、「もし日本人が本当に〈アジア〉を知りたいと思うなら、まず、沖縄から始めてみてはどうか」という言葉を投げかけました。この言葉は、その後、くりかえし思い返すものとなりました。沖縄と〈アジア〉という、二つにして一つの主題、私の探究の始まりでした。その後、津田塾大学と沖縄大学の単位交換制度の協定に基づく派遣学生として、1988年から一年沖縄大学で学ぶ機会を得ました。沖縄大学は、私にとって母校にも等しい場所です。沖縄戦の体験、米軍支配下での生活、人びとの自己尊厳を守る闘い、日本との容易ならざる関係や感情、そうしたことに日常的に触れるところから、沖縄現代史をより深く学び、それを国際関係のなかで問い直してみたいと考えるようになりました。わえて、近年はアートや文化交流をめぐる思想の研究にも関心をもっています。版画や演劇、映像などについても批評を書いたりしています。

教育活動

 沖縄大学では、国際政治学や政治学関係の授業やセミナーを、大学院では、現代沖縄政治研究や沖縄現代史特論を担当しています。私の担当する講義やセミナーでは、アジアや20世紀の国際政治の歩みを考えると同時に、それを沖縄の歴史に結びつけて問い直す作業を目指しています。沖縄の現代史は、基地問題などを通じて、日米関係のひとつのファクターとして扱われる傾向があります。しかし、現代沖縄の政治・社会・経済・文化、そして歴史は、決して一つの国民国家の歴史、あるいは日米関係という国家間関係のなかだけに収斂されるものではありません。 むしろ、帝国主義や冷戦、戦争と殺戮の20世紀の経験のなかで、アジアの、あるいは世界史の一部、〈近代〉の苦悩の一部としてとらえることができると思います。

所属学会

日本国際政治学会、歴史学研究会、同時代史学会(理事)、日本アメリカ史研究会など

学内活動

地域研究所所員

著作・論文
  • ○「現代沖縄における占領をめぐって」鳥山淳編『イモとハダシ―沖縄・問いを立てる 第5巻』社会評論社、2008年。
  • ○「戦後沖縄における政治空間とその構造をめぐって―朝鮮戦争前夜―」『軍縮地球市民』第10号、2007年。
  • ○「闇を解き放つとき―木版画・上野誠『原爆の長崎』掌版シリーズに寄せて―」『現代思想』2003年8月。
  • ○「ジープと砂塵―占領初期沖縄社会の『変容』と『変位』―」法政大学沖縄文化研究所『沖縄文化研究』29号、2003年3月。
  • ○「第二次世界大戦後の沖縄における政治組織の形成―沖縄人民党を中心にして―」法政大学沖縄文化研究所『沖縄文化研究』28号、2000年3月。
所属: 
氏名: 
若林 千代
氏名アルファベット: 
WAKABAYASHI Chiyo
写真: 
主な担当科目等: 
国際関係学、東アジア国際関係史、沖縄現代史
専攻: 
国際関係学、東アジア国際関係史、沖縄現代史
最終学歴: 
博士(国際関係学)、津田塾大学大学院国際関係学研究科博士後期課程
モットー: 
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学位: 
博士(国際関係学)、津田塾大学