小林 武

研究活動

 私は、大学院における研究活動を、憲法訴訟をテーマにしてスタートさせました。憲法訴訟(憲法裁判)の制度は各国で異なりますが、スイスは、アメリカが典型である司法審査制にも、ドイツやオーストリアの大陸型の憲法裁判制にも属さない、独自の憲法訴訟制度をもっており、小国の制度ながら注目すべきものであると、従前から、日本の学界でも認識されていました。ただ、その研究はほとんどなされていませんでした。日本はアメリカ型の司法審査制を採用していますが、その在り方についてより深く追究するためにも、このスイスの制度の特質を解明する必要があると考え、それにとりくんだわけです。法学博士号の学位も、現代スイス憲法の研究で取得しました。

 憲法訴訟とならんで、地方自治についても強い関心をもちました。生まれ、育ち、大学院を修了するまで住んだ京都。そして、南山大学・愛知大学に勤務して住んだ名古屋。こうした地域に脚を踏まえて憲法を考えることは、必然的に、地方自治に目を向けることになります。私の場合、憲法の側からの地方自治法学への接近です。沖縄に移住して、自治・自立の課題を、より強くわがこととして意識しています。

 そして、教育法・教育権のテーマにも心惹かれています。大学院生の時期には、教育学や教育行政学の同世代の研究者とともに大学横断的に研究会をつくって切磋琢磨したことがあります。専攻を教育法学に定めようかと考えたほどです。最も関心があるのは、やはり、教育にかかわる子どもの権利、学習権、とりわけ障害児・障害者の教育の問題です。

 さらに、憲法の平和主義の研究に携ることになりました。現実の憲法政治の動向ともかかわってとりくんでおり、とくに平和的生存権の研究を中心に、著書・論文の執筆のほか、裁判所に鑑定意見書を提出し、また学者としての証言にも応じてきました。人々が平和のうちに生きることを切実な課題としている沖縄においてこそ、この研究を一層進め、その成果を社会に還元したいと考えています。

 以上に概要を記した研究活動は、いずれも現在なお営々努力中のものであり、今後とも課題として勉強し続けます。

教育活動

 これまで、本土の大学では、法学部、大学院法学研究科および法科大学院で、いずれも憲法学関係の、また地方自治法学関係の講義・演習や論文指導を担当してきました。本学では、大学院において自治法関係の科目を担当しています。他に、琉球大学の法文学部および法科大学院で憲法の授業をしています。いずれの場合も、沖縄で憲法や地方自治の講義をすることのもつ格別の意義を大切にしながら進めようとしており、やり甲斐があります。

所属学会

日本公法学会、全国憲法研究会

学外活動

 地方自治体の情報公開・個人情報保護審査会の会長を務め、また、国会の衆議院・参議院それぞれにおいて、憲法調査会をはじめ各種の委員会で有識者として参考人陳述をしました。裁判では、多くの訴訟で鑑定意見書を提出しています。他に、市民の皆さんとともに憲法普及活動にも積極的にとりくんでいます。

著作・論文
主な著書:

『現代スイス憲法』(法律文化社、1989年)

『自治体憲法〔自治体法学全集2〕』(山下健次教授との共著。学陽書房、1991年)

『いま日本国憲法は』(三並敏克教授との共編著。法律文化社、1992年)

『演習講義 憲法』(法学書院、1995年)

『ハンス・チェニ 現代民主政の統治者』(翻訳。信山社、1999年)

『地方自治の憲法学』(晃洋書房、2001年)

『人権保障の憲法論』(晃洋書房、2002年)

『憲法判例論』(三省堂、2002年)

『法曹への憲法ゼミナール――同時代を解く』(法学書院、2003年)

『憲法と国際人権を学ぶ』(晃洋書房、2003年)

『平和的生存権の弁証』(日本評論社、2006年)

『憲法と地方自治〔現代憲法大系13〕』(渡名喜庸安教授との共著。法律文化社、2007年)

『ロースクール演習 憲法』(後藤光男教授との共著。法学書院、2011年)

その他、論説、翻訳、判例研究など多数。

所属: 
氏名: 
小林 武
氏名アルファベット: 
KOBAYASHI Takeshi
写真: 
主な担当科目等: 
憲法学、地方自治法、教育法学
専攻: 
憲法学・地方自治法学・教育法学
最終学歴: 
立命館大学大学院法学研究科公法専攻博士課程修了・法学博士
モットー: 
「養之如春」(これを養うこと春のごとし、と読みます。学び始めるのに遅いということはない、そしてゆったりと進めよう、という意味だと解釈して、モットーにしています。)
学位: 
立命館大学大学院法学研究科公法専攻博士 課程修了・法学博士
生年等: 
1941年生