小林 甫

研究・教育活動

 古典派経済学の体系では経済の総過程を生産-分配-交換-消費として把握するが、ジョン・ステュアート・ミルの「経済学原理」の体系が生産-分配-交換で終わり消費を欠落させることになったこともあり、それ以降これまで経済学は消費を私事としてその考察対象から捨象してきた。しかし、20世紀末に消費が人類の生存にとって大きな問題としてクローズアップされ、経済学では生活経済学が消費領域を対象とすることになった。だが、生活とは人間の生命活動の自己対象化であり、それを消費活動のみに限定することはできない。そこで、従来の生活経済論がその研究対象領域を消費に限定してきたのに対して、生活を人間の生命再生産行為として捉え、人間生活の経済的側面を労働生活と消費生活の側面からトータルに捉え直して生活経済学の体系化を再構築する必要があると考えている。

 1990年に沖縄大学に赴任してから、そのような発想に立って、この間沖縄大学の共同研究グループの一員として沖縄の経済的問題に取り組んできた。2000年から2002年まで、沖縄大学地域研究所の地域社会研究班のプロジェクトで現在存亡の危機にある共同売店の調査を行った。また、2003年から、同研究所沖縄消費問題研究班として那覇都心部における消費者行動と敷設されたモノレール利用の関連を都市振興に結びつける方途を模索しきた(2004年度公益信託宇流麻学術研究助成費交付、2005年度沖縄大学特別研究助成費交付を受ける)。さらに、この間は、沖縄大学地域研究所「まちとむらの関係形成」班に所属して、沖縄における独自の経済、流通問題に取り組む中で、沖縄の古層として残存しているコミュニティ的紐帯を、最近注目を集めているネットワーク、トラスト(信頼)、ノーマティヴ(規範)を中軸概念としたソーシャル・キャピタル範疇によって位置づけることを最近の研究課題としている。そこから21世紀における経済システムを考えていきたいと思っている。

所属学会

日本協同組合学会

学外活動

協同総合研究所会員、生協総合研究所会員、「協働労働の協同組合」法制化市民会議・沖縄副代表

著作・論文
  1. 1.「生活協同組合の新たな理論的課題」、『沖縄大学地域研究所紀要 1993年度年報』、No.5、平成6年3月。
  2. 2.「生活様式概念と生活協同組合の位置」、『流通』(日本流通学会年報)、No.8、平成7年7月。
  3. 3.「生活協同組合の展開と可能性」、『沖縄大学地域研究所紀要 1996年度年報』、No.8、平成8年7月。
  4. 4.「生活経済学の対象と課題」、『沖大経済論叢』、第22巻第1号(通巻49号)、平成12年3月。
  5. 5.「沖縄における流通のもたらした地域変動と共同売店の動向」、『沖縄大学法経学部紀要』、第3号、2003年3月。
  6. 6.「生活経済学とソーシャル・キャピタル」、『沖縄大学法経学部紀要』、第7号、平成18年10月。
  7. 7.「協働労働の法制化を展望して ― 沖縄からの発信」、『協同の発見』第193号、協同総合研究所、2008年(平成20年)8月。

○翻訳:トム・メイヤー著『アナリティカル・マルクシズム』、第2章「歴史理論」、桜井書店、2005年10月。

所属: 
氏名: 
小林 甫
氏名アルファベット: 
KOBAYASHI Hajime
写真: 
主な担当科目等: 
生活経済学
専攻: 
生活経済学
最終学歴: 
早稲田大学大学院商学研究科博士課程
モットー: 
汝の道を行け、 そして人にはその言うにまかせよ。
学位: 
商学修士(早稲田大学)