1998年4月30日(木)

沖縄海区漁業調整委員会北部地区(名護市)公聴会発言要旨

細川 太郎

 私は、LOVEジュゴン・ネットワークの会員・細川太郎です。

 私どもLOVEジュゴン・ネットワークは琉球列島に棲息するジュゴンの保護とその棲息環境保全を目的に活動を行っている団体です。

 私がこれから発言いたします趣旨は、県民はもとより県外の方々からも関心をもって見守られている沖縄のジュゴンについて、その棲息海域での漁業関係者の方々である皆様に、そのジュゴン保護へのご協力の呼びかけをいたしたい、という点にあります。

 さて、ご存じのとおり、ジュゴンは国際的保護動物であり、また、国の天然記念物にも指定されており(復帰前は琉球政府指定天然記念物)、その分布の東の北限が琉球列島だと言われています。

 沖縄では戦前、民話や「おもろそうし」にも登場し、身近な生きもののようでしたが、戦後の食料難の頃にダイナマイト漁などが行われたり、また、陸域でのもろもろの人間活動とも重なるなどして、その数を減らしてきたようです。

 先日、三重大学の粕谷俊雄先生らの学術調査グループ「ジュゴン研究会」によって、沖縄本島(以下、沖縄島)周辺海域でジュゴンの航空機調査が行われました。その調査によりますと、ジュゴンは沖縄島の西海岸では確認できなかったけれども、沖縄島東海岸の国頭村沖1回、名護市沖で3回、金武湾で6回の計10回確認できたそうです。

 前述のとおり、ジュゴンは、これを天然記念物に指定した文化財保護法によって保護されています。また、国内的には、水産資源保護法や「絶滅の恐れある野性動植物の種の保存に関する法律」(いわゆる種の保存法)、そして、国際的には、「生物多様性に関する条約」あるいは「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(いわゆる世界遺産条約)などとの関連でも、ジュゴン保護のための対応が求められています。

 ところで、沖縄では1979年以降、定置網や刺し網によるジュゴンの混獲が8件報告されています。その詳細は今後の調査を待たなければなりませんが、生体での混獲もありますが、死体の場合もあります。

 そこで、私どもは、ジュゴン保護とその棲息環境保全の立場から、今後とも、そのような混獲を危惧しております。

 沖縄のジュゴンを守るためには、その棲息海域での漁業を営まれる方々のご協力なしにはなし得ません。海のことを知り尽くした漁師や漁業関係者の方々のお知恵が不可欠です。そのお知恵なしには、私たちの宝であるジュゴンはこれからも安心して暮らして行けません。

 ジュゴン保護のため、ジュゴンの生態調査も欠かせません。私どもLOVE ジュゴン ネットワークでは、ジュゴンの生態調査のため、どんな些細な情報も集めております。

 そこで、以下の事項について、要望いたしたいと思います。

1 ジュゴンに配慮した網の設置をしていただきたいこと。

 (LOVEジュゴン・ネットワークが独自に収集したものも含め、これまでにジュゴンが目撃された場所の資料を後日委員会に提出いたします。)

2 ジュゴンが混獲されないような方策を協同で考えていきたいこと。

3 ジュゴンが混獲されないような方策を考えていくためにも、過去に混獲されたケースへの調査に協力していただきたいこと。

4 今後、ジュゴンが混獲された場合、

(1)ジュゴンの生存が一刻を争う事態と判断された場合は、直ちに放流し、その後必ずご報告いただきたいこと。

(2)ジュゴンが、たとえば、無事に定置網内を遊泳しているような場合は、ご連絡いただき、調査後放流していただきたいこと。

(3)ジュゴンが既に死亡している場合でも、ご連絡いただき調査にご協力いただきたいこと。

5 人とジュゴンが共生していくためにも、ジュゴンの生態調査が不可欠です。今後、ジュゴンが混獲されたり、座礁(ストランディング)した場合に限らず、遊泳中のジュゴンを目撃した場合も、LOVEジュゴン・ネットワークへご連絡いただきたいこと。

*連絡先は、下掲のとおりです。 

ありがとうございました。

公聴会の新聞報道:琉球新報報道1998.5/1 | 沖縄タイムス報道1998.5/1(沖縄タイムスWEBをご検索ください。)


目撃情報連絡先

 人魚のモデル、ジュゴン。沖縄はジュゴンの北限の地です。国際保護動物・国の天然記念物とはいえ、生息数も生態も何も分かっていません。LOVEジュゴン・ネットワークでは、ジュゴンの保護とその生態系の保全を目的とした調査を始めました。どんなささいな出現情報でもお寄せ下さい。  


ジュゴン観察記録様式

座礁(ストランディング)・混獲したジュゴンへの対処法

(2002年6月22日更新)


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