沖縄県職員措置請求書 旧立法院・旧県議会庁舎撤去工事等にかかわる沖縄県知事ら関係機関及び職員に関する措置請求の要旨
1 請求の要旨
(1)沖縄は1951年、サンフランシスコ講和条約が調印され、北緯29度以南の奄美諸島とともに米国の施政権下に入った。翌年、米国民政府は三権分立の原則に基づく琉球政府を設立、立法機関として立法院を設置した。(2)1954年竣工の立法院庁舎は、日本建築学会からも、「沖縄における最初の公開設計競技による最優秀作品であり、設計者が意図した独立と平和の理念が見事に造形化され、沖縄における建築設計水準の高さを示す優れた作品」と評価されている。
(3)旧立法院庁舎は、そのような建造物としての価値に加え、1972年の復帰までの18年間と、復帰後、現県議会庁舎が完成した1992年までの20年間、すなわち、38年の間、文字どおり、復帰前の米軍統治下の琉球の歴史と復帰後の沖縄の進路を決定した歴史的舞台であった。そこで、立法院議事堂は、米軍統治下の歴史を今にとどめる唯一の主要な建築物であり、米軍統治時代の「琉球」、復帰以後の「沖縄」の歴史を語る貴重な歴史的建築物として、他府県にはみられない、沖縄の特異な歴史的体験を後世に伝える記念館等として保存・活用することが考えられて然るべきである。
(4)ところが、報道によると、11月中にも議事堂が解体撤去され、レプリカとして「保存」されるという。しかし、「旧議会庁舎に関する検討委員会」報告(1994年)から、議事堂撤去、レプリカ保存に至るプロセスは不透明であり、また、耐久性問題についても、福岡高裁那覇支部でなお係争中である。
(5)南風原町による「南風原陸軍病院壕」の文化財指定(1990年)も参考となろう。1996年改正の文化財保護法は、文化財「登録」制度を創設したが、立法院議事堂は、少なくとも、その「登録有形文化財登録基準」にいう、築後50年前後を経過したもので「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である(文部省告示第152号参照)。
(6)「立法院を再生させる会」等からの、立法院議事堂を文化財として保護するよう要請を受けた那覇市教育委員会及び沖縄県教育委員会関係機関は、文化財としての立法院議事堂について検討中である。
(7)「立法院を再生させる会」等は、文化庁長官に対して、立法院議事堂を「登録有形文化財」として申請した。
(8)よって、請求者は、沖縄県知事ら関係機関及び職員に次の是正措置を求める。
旧立法院・旧県議会議事堂の取り壊しにかかる一切の支出を凍結すること。2 請求者 別紙、請求者目録記載のとおり。
以上、地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え必要な措置を請求いたします。
1999年11月11日
沖縄県監査委員
仲 地 清 純 殿
宮 城 千 春 殿
石 川 修 殿
金 城 繁 正 殿事実証明書目録(追加も予定しています。)
1 日本建築学会「旧立法院議事堂及び事務局棟保存に関する要望書」、「旧立法院議事堂及び事務局棟保存に関する見解」、および、関連文書
2 立法院議事堂の保存活用を訴える県内大学有志「『旧琉球政府立法院議事堂の保存活用』に関する県内大学有志のアピール」
3 「(沖縄県)旧議会庁舎に関する検討委員会」報告
4 「旧議会庁舎耐久性庁舎 鑑定書」
5 南風原町教育委員会「南風原町指定文化財一覧表」、および、関連新聞記事
6 文化庁長官宛「旧立法院・旧沖縄県議会庁舎(議事堂)の「登録有形文化財」登録について(申請)」、および、沖縄県知事宛「旧立法院棟の文化財登録に関する『同意』の要請」
7 「『近過去』の建造物保存の重要性」(朝日新聞「論壇」)
8 「V. 文化財保護施策」(文化庁ホームページより)
9 『文化財保護法 改正のポイントQ&A』抜粋
10 「沖縄の『議事堂』、なるか保存」など本土新聞報道記事
11 立法院に取り付ける計画だったブロンズ「平和の鳩」関連報道記事
12 ドキュメント「立法院再生!」Vol.1 報道・出版物、Vol.2 声明・決議・要請
13 「立法院棟の解体工事」報道記事(注)19999年11月11日、解体工事について入札を行うという同月15日を前にして、43名の県民は、解体予算の執行の凍結を求める住民監査請求を行った。沖縄タイムスWEB関連報道参照。
|
1)「請求の要旨」については、その後改正されていなければ、1,000字以内という字数制限がある(地方自治施行令172条)。ただし、同字数には、「請求の要旨」中の句読点や、請求人(者)の氏名・住所の記載は含まれない。 2)住民一人でも監査請求でき、費用は無料。 3)監査委員による監査結果は、監査請求人からの意見陳述を受けたのち、請求から60日以内に出される。 4)住民訴訟の訴えは、監査結果から30日以内にしなければならない。 参照:辻公雄ほか2名編『監査請求から訴訟まで理論と実務 住民訴訟の上手な対処法』(民事法研究会、1995年)(この項、2000年12月29日追加) 5)沖縄県監査委員事務局:098-866-2530 「沖縄県各課室のページINDEX」によると、監査委員関連ページはないようだ。参照:行政オンブズマン相談室 (この項、2000年12月29日) |