「旧議会庁舎に関する検討委員会」報告書

・この1994(平成6)年4月25日付報告書は、沖縄県「行政情報センター」をとおして情報公開制度に基づいて得た文書である。

・本文書は、3枚つづりの文書である。できるだけ、原文書に近い体裁(頁数や改行など)を施した。

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平成6年4月25日


沖 縄 県 知 事

 大 田 昌 秀 殿

旧議会庁舎に関する検討委員会
会 長 山 本 正 男


 本委員会は旧議会庁舎の望ましいあり方について、自由かつ公正な

見地から討議検討した結果、次のとおり結論を得たので報告します


                     言己

 旧議会庁舎に関する検討委員会は,「旧議会庁舎」について大局的な立場から自由
た討議を行い,望ましいあり方について協議するため,平成5年11月24日に県知
事から委嘱を受けた。
 本委員会は,「旧議会庁舎」の歴史的・文化的・建築的意義を自由かつ公正な見地
から討議し,その基本的な諸問題について検討するため,テーマを (1) 理念に関する
問題 (2) 景観に関する問題 (3) 耐久性に関する問鹿にわけて,7回にわたり委員会を
開催し,あらゆる角度から慎重に検討した。
 委員会の審議にあたっては,事務局から提出された関係資料や,県内外から寄せら
れた多数の要請書等についても検討し,更に現場調査や耐久性調査等も行ってきた。

1 審議の経過
 《基本的諸問題への検討》
(1) 理念に関する問題
 今日,都市計画等の問題は,現代文明推進の合理的・機能的観点から,いわゆるス
クラップ・アンド・ビルドの一環として処理されることが多い。
 しかし,アジア太平洋地域の一交流点として,独特な歩みを辿ってきた沖縄の場合,
独自の歴史的・文化的見地に立って考案することが望ましい。
 この場合,新しい平和を指導理念とする沖縄県民にとって,特に戦後の歴史の不断
の再認識は大さな課題である。
 その意味で「旧識会庁舎」は.沖縄の戦後の歴史を語り,明日への歩みを積極的に
検証し得る生きた文化指針として考えられる,とするのが大勢であった。
 なお,戦後の歴史問題は,いたずらに過去にとらわれず,新しいアイデンティティ
を求めることこそ肝要で,単に建築物よりむしろ活躍した人間像や資料館等によって、
語らせるべきものとするとの意見もあった。

 (2)景観に関する問題
 近代都市の合理的・機能的な建築物に対し,「旧議会庁舎」の周囲に植栽等を配慮
することによって,都市文化景観として,沖縄独自の歴史的・文化的・風土的アクセ

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ントと安らぎを与え得るとの意見が示された。
 しかしまた,本県の都市計画維進上,機能的支障となり,都市文化景観の妨げとな
るとの意見もあった。

(3)耐久性に関する問題
 「旧議会庁舎」を単なる歴史的記念物として保存するのではなく,生きた社会的施
設として機能させるため,耐久性・安全性が問題となる。
 耐久性調査の結果,建物の中性化進行速度及び鉄筋腐食状況から判断すると,一般
的に言われる中性化寿命に達していると考えられる。
 しかし,物理的耐用限界で定義される構造耐力の寿命には達していないが,残余年
数の予測は不可能であり,公共施設として維持保全をするためには,大規模な補修・
補強対策が必要なことが判明した。

2 審議のまとめ

 《総合的見解について》
これら基本的諸問題への検討を踏まえた各委員の総合的見解をまとめると,理念問題
では「旧議会庁舎」の歴史的・文化的意義の再認識は沖縄の大きな課題であるとの共
通認識が得られた。
 しかし,景観問題や耐久性問題では,「旧議会庁舎」の保存修復を図りつつ活用す
るには,建物の寿命や妥当な利用計画,補修・維持・管理の財政問題,都市計画との
整合性等の問題があって,現状のままで保存は困難であることが明らかになった。

 そのようなことから,本委員会としては,「旧議会庁舎」が沖縄のみならず,むし
ろ日本の戦後史の中核をなし,沖縄の明日につながる学習体験の不可欠な資料である
との認識を生かすため,本来の歴史的・文化的意義を発揮し得るよう,再建ないし移
築,レプリカでの対応によって活用する等の新たな視点を含めた方途を講ずることが
望ましいと考える。

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