監 第 270 号
平成6年7月7日
(監査請求者:省略)殿沖縄県監査委員 仲 地 清 純
同 岸 本 忠三郎
同 村 山 盛 信
同 友 寄 信 助(沖縄県監査委員印鑑)
沖縄県職員措置請求に係る監査の結果について(通知)
平成6年5月13日付けで提出された沖縄県職員措置請求についてこれを受理し、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第3項の規定に基づき監査を実施したので、その結果について別紙のとおり通知します。
(別紙)
第1 請求の受理
本請求は所要の法定要件を具備しているものと認め、平成6年5月13日付けこれを受理した。
なお、本請求は82名より提出されたが、このうち住民として確認できなかった者6名を除き76名を請求
人とした。
第2 監査の経過
1.請求人の陳述等
請求人に対し、地方自治法第242条第5項の規定に基づき、平成6年6月8日証拠提出及び陳述の
機会を与え、6名より陳述があり証拠の提出があった。
2.監査の対象
監査に当たっては、請求書記載事項及び事実証明書並びに陳述から請求の趣旨を次のように解した。
県は、旧議会庁舎の望ましいあり方について協議するため、「旧議会庁舎に関する検討委員会」(以下
「検討委員会」と略)を設置したが、同検討委員会から耐久性調査の要請があり、これを受けて、平成
5年12月27日沖縄県建築設計監理協同組合(以下「組合」と略)を受注者とする「旧議会庁舎耐久性調
査委託」(以下「調査」と略)事業を委託額4,326,000円で実施した。
そして委員会は、この調査の結果等を踏まえ結論をまとめ知事に答申した。
ところが、調査は初歩的、非科学的誤認を犯し全項目にわたって学術的誤認のあるずさんなものであ
り、また、発注に際しての特記仕様書を遵守していない。よって、請求人は沖縄県知事及び関係職員に
対し、次め是正措置を求める。
(1)調査報告書を正しく改めさせること。
(2)改められた報告書に基づき検討委員会で再審議すること。
(3)報告書を改めさせない場合は契約金の一部を返還させること。
(4)上記返還請求がなされなかった場合、知事ら関係職員は県に対し、遵法、不当な支出金の損害を
補填賠償すること。
しかし住民監査請求は、請求の対象が遵法又は不当な具体的な機関又は職員の具体的な財務会計上の
行為又は怠る事実に限られていることから、上記(2)を除きこれを監査した。
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3.監査対象機関
総 務 部
4.監査に当たり事情を聴取した者
総務部次長 津嘉山 朝 之
総務部管財課長 玻座真 勝
土木建築部参事 金 城 正 光(元庁舎建設室参事)
土木建築部施設建築室副参事 山 川 栄(元庁舎建設室副参事)
沖縄県建築設計監理協同組合理事長 屋 田 直 勝
琉球大学工学部教授 大 城 武
第3 監査結果
本請求について対象機関、証拠書類、現地及び関係人を監査した結果は次のとおりである。
1.県は、旧議会庁舎を解体撤去すべく平成5年7月31日工事に着手したが、同庁舎の保存を求める請願
及び陳情等が県議会及び知事あてになされたことから、議場部分を残し同年10月25日工事を終了した。
このため県として、今一度大局的見地から自由に討議を行い、その望ましいあり方について協議する
ため平成5年11月検討委員会を設置した。
そして、同検討委員会から審議の前提条件として旧議会庁舎の耐久性調査実施についての要請があり、
これを受けて県としても緊急に調査を行う必要性を認め、平成5年12月27日組合に対し履行期間を平成
6年3月6日までの70日間とする調査を発注し、契約の履行があったものとして同年4月5日、これに
対し委託料4,326,000円が支払われた。
2.調査の概要、特記仕様書の履行状況及び発注先選定経過は次のとおりである。
調査概要については、
特記仕様書に基づき
(1)外観目視調査
ア 建物内外におけるひぴ割れ発生状況調査
イ 建物外周におけるタイル剥離状況調査
ウ 鉄筋の腐食状況調査
一2一
エ その他め内外材の劣化調査(2)材料試験
ア コンクリート圧縮試験
イ コンクリート中の塩分量試験
ウ コンクリートの中性化試験
となっており、現に実施されている。
なお、上記項目の選定及び調査実施は建設大臣官房技術調査室監修「鉄筋コンクリート造建築物の耐
久性向上枝術」に基づくものである。
特記仕様書の履行状況については、
調査実施に当たっては「調査内容、方法及び結果について学識経験者の助言及び所見を求めなければ
ならない。」とされているが、学識経験者として琉球大学工学郡教授工学博士・大城 武、(財)日本建築
総合試験所材料試験室長工学博士・田村 博の2名を委嘱し、調査実施及び報告書作成等に当たり具体
的な指導、助言を受けている。
なお、受注した調査業務に実際に従事した者は建築士法に基づく一級建築士の有資格者である。
委託発注先選定については、
当該調査が高度で専門的かつ特殊な技術が必要であり、これらに十分対応し得る体制を有する業者を
選定する必要があるとの認識のもとに選定を行い、
(1)中小企業等協同組合法に基づく組合である。
(2)該組合は31社で構成する組織であり、人材が豊富である。
(3)該組合は県庁舎基本設計、実施設計、施工監理の実績が十分で、県庁舎全般に精通している。
(4)当該調査を早急に実施し、検討委員会に資料提供を行う必要があり、これに十分対応し得る体制
を有している。
の理由から同組合に決定したものである。
3.調査報告書の利用者である検討委員会は、平成5年11月24日以降、合わせて8回にわたって開かれ、
そのうち調査報告受領後のものが4回となっている。
協議の結果、本調査報告書も踏まえて全会一致で報告がまとめられ、平成6年4月25日知事あて報告
されている。
ところが、請求人はこの調査報告書について、請求の趣旨にあるように、全項目にわたって学術的に
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ずさんなものであり、特記仕様書にも反していること。また、県自身も特記仕様書を十分に遵守しなかったため、結果として契約の目的が十分に達成されていない。
即ち契約の適正な履行の確保がなされていないものに公金を支出した。従ってこれは、違法、不当な
支出に当たる旨主張している。
第4 判 断
本事実の趣旨は、つまるところ調査結果が契約の適正な履行の確保がなされていないとされるはどに不
十分なものであったかどうか、ということに帰着する。
この点について、本監査委員としては、
1.県は、調査発注に当たって、調査が高度で専門的かつ特殊な技術が必要であるとの明白な認識をもっ
て発注及び受注者の選定に当たるとともに、受注者に対し指導、助言する学識経験者の必置を特記仕様
書で義務付けるなど、精度の高い調査結果を得るよう配慮していること。委嘱された学識経験者につい
ても、その経歴、実績等から特記仕様書の趣旨に添った者が確保されていること。
2.発注した県も、現場調査に随時立ち会うとともに、成果品の受領に当たって十分な注意をもって検収
していること。
3.報告書の実際の利用者である検討委員会においても、その検討資料として利用され、その結果を踏ま
え、全会一致で結論を得ていること。
等、監査結果に鑑み調査については、契約の適正な履行があったと認められることから、県に損害を与
えるような財務会計上の事実はなかったと判断する。よって、調査に係る委託料の支出は遵法又は不当な
公金の支出には当たらず、本請求は理由がない。
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(注1)表紙の部分を除き、できるだけ原文書に近い改行などの体裁をとった。誤字・脱字があり得ますが、転載者に責任がある。
(注2)ここに掲載された監査結果は、請求者に通知されてきた「沖縄県職員措置請求に係る監査の結果について(通知)」に基づき作成した。なお、同監査結果は、「沖縄県広報」号外28号(1994〔平成6〕年7月12日)1ページ以下にも、1994〔平成6〕年5月8日付け監査請求書とともに、掲載されている。