1999年11月9日
文化庁長官 林 田 英 樹 殿申請者住所 〒902-0066 沖縄県那覇市(略)
氏 名 大 嶺 達 夫 他18名
別紙「申請者目録」記載のとおり
沖縄県那覇市在の下記建造物を登録有形文化財として登録されますよう資料を添えて申請します。
記 1 文化財の種別、名称および員数 :建造物 立法院議会棟(旧県議会棟) 1棟
2 所在の場所 :沖縄県那覇市泉崎1−2−2
3 所有者の氏名および住所 :沖縄県民
4 所在者以外に権限に基づく占有者がある場合には、その氏名および住所:
氏名:沖縄県(稲嶺恵一知事) 住所:沖縄県那覇市泉崎1−2−25 品質および形状(建造物の場合には、構造および形式)
:鉄筋コンクリート造2階建 勾配付陸屋根 一部ピロティー式 近代建築6 寸法または重量(建造物の場合には、床面積および高さ):535.99F 9.7m
7 作者、製作年代または時代 :設計者 大城龍太郎 竣工 1954年
8 由来、沿革、伝説その他参考となる事項
旧立法院・旧県議会庁舎のうち、議会棟(議事堂)のみが現存している。沖縄は1951年、サンフランシスコ講和条約が調印され、北緯29度以南の奄美諸島とともに米国の施政権下に入った。翌年、米国民政府は三権分立の原則に基づく琉球政府を設立、立法機関として立法院を設置した。
そのような立法院は、米軍統治下における住民側の立法府として誕生したとものとも言えるのであり、自治権の獲得と平和への希求の象徴として戦後沖縄の民主主義を体現する建物となった。すなわち、旧立法院・旧県議会庁舎は、1972年の復帰までの18年間と、復帰後、現県議会庁舎が完成した1992年までの20年間の約40年間、文字どおり、米軍統治下の琉球の歴史と、復帰後の沖縄の進路を決定した歴史的舞台であったのである。
さらに、旧立法院(議事堂棟)は、県議会庁舎としての役割を終えたあと今日までの7年間も、私たちを見守りつづけている。
沖縄における初の公開競技設計を行い、沖縄人による設計・施行になる戦後初めての公共建築として完成した。
近代建築の常として外見上殊更に時代様式や風土性を強調したものではないが、それを超越した思想性と敢えて言えば沖縄的な理想主義が好ましいスケールと美しいプロポーション、様々な建築言語の組み合わせによる個性的な表現の内に結晶している。理念・意匠・機能が一体となったこのような特色は、沖縄の優れた建築作品として日本建築学会から、また心ある県内外の研究者から高い評価を受けている。
最後に特記しなければならないのは、旧立法院議事堂の正面ルーバー・パネル上には沖縄住民の平和の希求を象徴するブロンズ・レリーフ「平和の鳩」を取り付ける計画であったが、資金提供者であった米国民政府の拒絶により実現しないまま今日に至っていることである。
以上
添付資料
1)日本建築学会「旧立法院議事堂及び事務局棟保存に関する要望書」
2)日本建築学会「旧立法院議事堂及び事務局棟保存に関する見解」
3)日本建築学会 九州支部 建築歴史意匠委員会
旧立法院の保存を考えるシンポジウム 1993.7.3 記録集
琉球大学教授 福島駿介 スライド紹介と解説より
4)立法院議事堂の保存活用を訴える県内大学有志「『旧琉球政府立法院議事堂の保存活用』に関する県内大学有志のアピール」1993.9.17
5)「ドキュメント『立法院再生!』Vol.1報道・出版物」
6)「ドキュメント『立法院再生!』Vol.2声明・決議・要請」
7)「(沖縄県)旧議会庁舎に関する検討委員会」報告1994.4.25
8)「旧議会庁舎耐久性調査 鑑定書1995.10.6」
9)「沖縄の『議事堂』、なるか保存」(朝日新聞1996年1月20日夕刊)
10)ブロンズ"平和の鳩"についての報道記事(琉球新報1954年4月)
11)写真
【注1】上掲の申請書は、1999年11月9日夕方投函された。
【注2】同日、下掲の要請文は沖縄県管財課を経由して、沖縄県知事に要請された。
1999年11月9日
沖縄県知事
稲 嶺 恵一 殿
立法院を再生させる会
事務局長 米須正弘
連絡先 那覇市(略)
建築研究室DAP気付
TEL:(略)
旧立法院棟の文化財登録に関する「同意」の要請拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
貴職におかれましては、ご就仕以来、わたしたち沖縄県民の暮らしのため、職務にご精励のことと存じます。
さて、私たち「立法院を再生させる会」は、1992年以来旧立法院議事堂の文化的、歴史的価値を主張して、沖縄の戦後史を知る戦後史資料館などへの保存再生を訴える活動を行なってきました。
このたび、文化庁に対して、旧立法院棟の文化財「登録」に関する申請を行なうことにいたしました。私たち県民は、米軍占領下に建てられた立法院議事堂が文化財として保存されることを強く望んでおります。
ところで、文化財保護法は1996年、従来の指定制度に加え、登録制度を創設しました。その登録制度の運用上、申請される文化財の管理者の同意が求められております。
そこで、知事が同意していただければ、旧立法院棟の文化財(「登録有形文化財」)の登録が行なわれることが確実であり、県内外に米軍占領下の沖縄の特異な歴史を体現した唯一の公共建造物である旧立法院棟が文化財として登録されることになります。それは、沖縄県における文化財認識の深い見識を内外に示すものともいえます。
つきましては、旧立法院棟の文化財登録が行なわれるよう、下記のとおり、知事の「同意」をいただきたく、要請いたします。何卒、知事のご高配を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
要請事項 旧立法院議事堂について、「登録有形文化財」としての文化財登録のために、旧立法院管理者としての「同意」をいただきたいこと。