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2022.12.05#その他

ピカリと輝く沖大生!卒業生編 宮城直子さん(2012年福祉文化学科卒業)佛教大学大学院学術奨励賞受賞

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福祉文化学科卒業生で現在佛教大学大学院の宮城直子さん(2011年度卒業)が、今年度の佛教大学大学院学術奨励賞を受賞しました。

宮城さんは、現在、地域包括支援センターとよみの杜で社会福祉士として働きながら、大学院で博士課程修了に向け、研究を重ねています。琉球民政府時代の福祉事業の資料を辿り、その当時の福祉に関わった人たちのミクロストリアを研究テーマにされている宮城さんにお話を伺いました。

佛教大学学術奨励賞を受賞した研究テーマについて

私は、戦後沖縄の福祉専門学の人材育成がどのように行われていたか、福祉事業の歴史について研究しています。当時の沖縄はGHQの社会事業計画の元で、アメリカと日本の社会事業に関する法律から沖縄版をどのように整えていくかとても大変な時代だったことが伺えます。その歴史を掘り起こすことができたらと、本土留学をされた方々に聞き取りをして修士論文にまとめました。沖縄から本土留学をした学生さんたちと親交があった日本社会事業大学の名誉教授で社会福祉学者である故・吉田久一先生が、彼らたちとの交流だけでなく、吉田先生自身も戦中に石垣島へ召集され沖縄戦を経験したことから、沖縄のことを想い考えていらっしゃったことがわかる資料等に出会い、それをまとめたいと、『吉田久一とその時代』の本の中で『吉田久一と沖縄」 というタイトルで書かせていただき、それが今回、賞を頂くことができました。

沖縄大学での学びや大学院進学について

長年、看護師をしていて2000年に介護保険制度がスタートしてケアマネージャーの資格を取得した頃から、高齢者のケアプランを作る仕事に携わることになりました。高齢者の相談援助等福祉の勉強をきちんとしたいなと思うようになり2010年に沖縄大学に編入学しました。社会福祉士の資格を得て2012年3月に卒業し、歴史が好きだったので、沖縄の福祉の歴史を調べてみたいなと思った頃に、吉田久一先生が書かれた本を読んで深堀していった感じです。吉田先生は論文等で沖縄について触れていらっしゃることはないのですが、ゼミ論等で、沖縄での体験等、沖縄からの留学生たちについて触れている記述があり、興味を持っていきました。また戦後の混乱期に児童福祉法等福祉三法の沖縄版を整えていった方たちのことについてもとても興味がありました。研究を続けるために2014年4月に佛教大学大学院社会福祉学研究科に進学し、通常は2年で卒業ですが4年通い、2018年4月から現在まで博士課程で学ばせていただいています。

博士論文のテーマについて

研究をすすめていくうちに、1946年から1951年頃の沖縄県の福祉業務資料を当時福祉事業において活躍された宮城常敏さんのご遺族から譲りうけることができました。申請書のフォームなどもあり、苦労されていた様子が伺えるほか、米国軍政府令を日本語訳して回覧したものなど当時の福祉事業に携わっていた方々の名前も記されていて、当時のひとたちの息遣いもわかる貴重な資料です。資料は保存・継承していく必要があると思いますのでその箱、システムを構築したいというのがいまの私の課題でもあります。

沖縄と本土での福祉の違い等、研究で感じたことについて

すごく感じたことは、日本本土から切り離されて、自分たちで福祉事業を整えないといけない、本土との格差がないようにと必死で情報を得ながら学びながら、本土並みにやっていこうと必死で取り組まれた方々がいたということです。その方々が、アメリカ統治時代にアメリカの影響が色濃くあるなかでどのような想いで働かれていたか、今の私の関心ごとであります。

歴史を知り、福祉を学んでいてよかったなと思うのは、高齢者理解の面で、お年寄りが生きてきた人生をきちんととらえながら接することができていることはとても良かったなと思っています。専門校で社会福祉士の資格を取るだけの学びを選択せずに、沖縄大学で共通科目(歴史等)を履修しながら広く学べたことが現在の研究にとても生きているなと感じています。幅と深みがでてきて、大学で学ぶ意義はとても大きいものだと感じています。沖縄大学に進学してよかったなととても感じております。

宮城さんの研究は沖縄の福祉事業、USCAR(琉球列島米国民政府)時代の福祉事業を紐解くうえで重要な研究となるかと思います。今後の活躍を期待しております。