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2021.11.04#その他

「学校を飾って遊ぶ造形遊び①」こども文化3年次講義

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11月2日、午後3時頃。沖縄大学中庭に突如現れたカラフルなクモの巣のような造形・・・。

コロナ禍の合間をぬって大学でも、やっとこういった体験的活動に取り組めるようになってきました。これはこども文化学科の「図画工作科教育法」で行われたカラーテープ使ってキャンパス中庭で行った造形の授業です。

色がついた、ビニールテープとお箸を手に、学生たち、中庭を駆け回りました。30分ほどで完成し、芝生に寝転がり、空とカラーのコントラストを楽しんでいました。

図画工作における「造形遊び」という活動によせて

美術の文脈ではインスタレーションとの類似性が指摘される、この「造形遊び」は主に屋外での子どもの自発的遊びの活動そのものから派生するものであり、まさに形の残らない遊戯性による発見と、その結果としての自由な造形性が顕著な特徴です。一般的に私たちがイメージする図画工作は「絵や工作」の活動であり、小学校の図画工作では壁面やパーティション、台座に掲示する「絵や立体で表す活動」が長年、行われてきましたが、現在、学習指導要領では、その活動に加え「造形遊びによる活動」と「鑑賞による活動」が大幅に全学年に導入されています。前者の「造形遊び」 には、こういった従来の教育現場におけるコンクール主義や作品主義に対する反省も込められていると言えます。

美術史においては、既に20世紀後半には絵画や彫刻の概念が拡張され、作品は「壁」や「台座」を離れていき、空間そのもの(美術館や屋外、市街地、自然、学校)の重視から、パフォーマンスやアースワーク、インスタレーション、ワークインプログレス、アートプロジェクトという傾向が主流となっていきます。かつてウンベルト・エーコが述べた「開かれた作品」としての「開放系プロセス全体の作品化」にまで繋がって行ったこの潮流は、決して美術という大人の世界だけの動向ではありません。学校という場における図画工作の文脈における萌芽こそが、まさに、この遊戯性を切り口として、空間そのものの表現活動にまで広がる「造形遊び」ではないかと思われます。

さて、この画期的とも言える「造形遊び」という活動では、主に砂や葉っぱ、 椅子、水、ビニール、石、ダンボール、廃材などを使用し、数多くの子どもの活動・授業実践が行われていますが、これら素材からも想像出来るように、子ども達の作品は極めて「一過性」のものであり、テンポラリーにその場(学校や家庭、地域)にあるあらゆる材料や日常物を使い、子どもの表現活動が行われるのが一番の特徴です。そこには一見すると従来の絵画や彫刻の作品観(額縁・壁面・台座作品)に慣れ親しんだ大人からみれば、作品としての形式性や永続性もない「造形遊び」の作品群は、儚く稚拙な印象さえ受けることもあります。勿論、言うまでもないことですが、「自発的な意味」での造形的な遊びは、結果としてそれが「作品」として残るだけで、そもそも子どもはアーティストのように「作品」を作ろうという動機だけで作品制作を行っているわけではありません。砂場で懸命に作られた泥だんごが結果として破壊され、落ち葉の色遊びが風で散らされ、いつしか消失するように、それは一過性の造形的遊戯のようでさえあります。本来、幼児期や児童期の造形・図画工作の核にあったのは、こういった「遊戯性」を主軸とした活動ではなかったでしょうか。そこには、子どもの感性と日常物との非コンテクスト化された偶発的接触による稀有な「一瞬の輝き」があるはずなのです。その体験を通した教育が「絵や立体で表す活動」とは別の、小学校図画工作における「造形遊び」の重要性と言えます。本学こども文化学科の学生さんには、将来、子どもの表現活動に関わる小学校教諭として、幅広い体験と図画工作科教育に関する知識を深めてもらいたいと思っております。

こども文化学科
吉村壮明教授