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SPECIAL INTERVIEWS

佐藤健人さん

琉球ホテル&リゾート名城ビーチ 総支配人

佐藤健人 さん (琉球ホテル&リゾート名城ビーチ 総支配人)
17歳へ。

可能性は無限大!自分に限界をつくらずに自身の未来に期待してほしい!

1984年生まれ、東京都出身。コンサルタント業界から転身し、2014年株式会社ケン・コーポレーション入社、2015年にハイアットリージェンシー那覇沖縄の総支配人に就任。2022年4月より琉球ホテル&リゾート名城ビーチ総支配人を務める。現在、県内外5つのホテルの代表取締役を兼ねる。

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    どんな17歳でしたか?進路はどのように決めたのですか?

    東京で生まれ、中高一貫の男子校で野球部に所属して、部活ばかりのごく普通の高校生でした。経営に携わっていた父の影響もあり、漠然と経営に興味はありました。
    文系の大学を志望していたのですが、大学受験に失敗したときにアメリカの大学に進もうと決めました。浪人時代も必死に勉強していたかというとそうでもなく、このまま日本にいると甘えてしまうと思ったからです。アメリカの大学に進めば箔がつくんじゃないかという単純な発想もありました。そのとき考えていたのは「若いうちに苦しい経験をしないと自分は上にあがれないんじゃないか」ということ。アメリカという誰も頼る人がいない場所で、自分がやったことのないことばかりの状況、自分を追い詰めるような環境に身を置いてみようと考えました。あまり深く考えずに進んでいったのですが、留学後は環境にも順応し、楽しく過ごすことができました。英語もhello, thank you程度しか話せないレベルだったのに、いつのまにか話せるようになり、大学の勉強はとても大変でしたが、無事卒業することができました。人は環境に順応する生き物だと身をもって感じました。

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    大学卒業後、最初のキャリアについて教えてください

    就職活動の際には「やはり若いうちに経験をつまないと!」と改めて思い、ハードワークかつ、ビジネスの経験を積める職種を中心に就職活動を行いました。 その結果、コンサルティング会社に就職したのですが、社会人1年目から文字通り「朝から晩まで」働きました。仕事量をこなすだけでなく、結果を出し続けることも強く意識しました。地方の経営者がクライアントだったので、その会社が成長するためにはどうすれば良いかを日夜考えていました。風呂に入っているときや、移動中も常に思考を巡らせている状態でした。

    目標実現のためにがむしゃらに働き、仕事はやりがいを感じて楽しかったです。先輩方を手本に、まずは真似て、経験を元にアレンジをしていく。それを重ねていくうちに、徐々に自分でイチからの提案ができるようになっていきました。この最初の会社で社会人としての基礎を学ぶことができました。とても感謝しています。

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    現在のお仕事、ホテル業に携わることになったきっかけは?

    父が現在の会社の代表になり、そろそろ戻ってきたらどうかという話がありました。父が働いている会社のおかげで私のこれまでがあるので、なにかしら恩返しをしたいという気持ちはずっとあり、転職に踏み切りました。
    転職後、最初の仕事がハイアットという「外資系ブランドホテルを沖縄につくる」ことでした。会社としても開発からのホテル事業は初めての試みで手探りでした。私自身もホテルビジネスに携わるのは初めてでしたが、初めてということが、結果的にホテル業界の当たり前に属さないやり方に繋がったので、良かったのかもしれません。
    ホテルの中には様々な部署があり、役割が大きく異なるので部署ごとに縦割りになってしまいがちです。しかし、スタッフ全員のチームワークで、お客様ひとりひとりにサービス、おもてなしをする事が重要だと考え、それを実現できる体制づくりに努めました。結果的にはホテル業界の常識にとらわれないかたちで、ハイアットリージェンシー那覇沖縄を開業することができたと思います。
    ハイアットは世界の名立たるディスティネーションに出店するブランド力の高いホテルです。そのハイアットが開業したことは、沖縄が世界有数の観光地の1つとして認められたことを意味します。その様な観点からも、ハイアットリージェンシー那覇沖縄が開業したことは沖縄の観光業界にとって大きな意味があるものだったと思います。

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    困難や挫折をどう乗り越えましたか?

    日々、思い通りにはいかないことばかりです。
    失敗も何度もありましたが、とにかく逃げずに成功するまでやり続ける。そうすれば、かならず成功に近づくことができると思っています。目の前のことに一所懸命に取り組むことを基本にし、日々仕事をする様にしています。

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    沖縄のポテンシャルについてどのようにお考えですか?

    新卒採用の面接でもよく耳にしますが、沖縄には「地元・沖縄のためになにかできたら」と思っている方がたくさんいます。これは、地元を愛しているからこそ出てくる言葉だと感じます。「自分の好きな故郷を、相手にも同じように好きになってほしい」と思う気持ちや、そこから生まれる行動こそが、真のホスピタリティーだと思います。ホテルスタッフはこの想いを実践し、沖縄に貢献できていると実感できる仕事です。

    観光立国日本を牽引していくのは観光立県沖縄だと確信しています。沖縄のホテルで力をつけたスタッフが、日本全国各地のホテルの第一線で活躍する人財になっていくと思います。実際に、当グループのハイアットリージェンシー横浜へ沖縄から延べ30人のスタッフが開業のサポートを行い、業績を向上させました。沖縄の人財がキーマンとなるのを実感した事例の1つです。
    沖縄はアフターコロナには再び、右肩上がりに多くの観光客の方がいらっしゃると思います。ただキャパシティには限界があるので、そこを解決していく必要はあります。人生に1度来る場所ではなく、沖縄を訪れることがライフスタイルの一部のようなリピーターを増やしていく。沖縄ファンが増えることを県民が誇りに思うマインドが備われば持続可能な観光立県になるのではないかと思います。生涯滞在日数を増やしていき、そういう人たちに深くおもてなしをする沖縄県になるといいなと思います。

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    今年オープンした琉球ホテル&リゾート名城ビーチについておしえてください。

    今年7月23日にオープンした琉球ホテル&名城ビーチホテルは私達がやりたいことを全て詰め込んだホテルです。この土地のポテンシャルが高いと感じて、7年前のハイアットリージェンシー那覇沖縄の開業直後から構想していたプロジェクトでもあります。東洋一のリゾートホテルを目指し、ハード面、ソフト面のどちらも魅力あふれるホテルとなっています。全443室の客室からサンセットが臨めるオーシャンビューの客室、プールは6つ、レストラン・バーは9つ、リゾートMICE(さまざななビジネスイベント)を誘致できる大規模な宴会場を備えています。
    これだけの規模のホテルを運営するために正社員・パート合わせて550人を採用し、社宅も建設、子育て世代の社員が安心して働けるように、病児保育等も備わった保育園もオープンしました。ホテルは365日24時間稼働しているので、そこで働く人たちが働きやすい環境づくりにも努めています。

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    ホテルビジネスにとって大切なことは何ですか?

    ホテルは「人」が最も大事なヒューマンビジネスです。グループ全体の「スタッフを大切にする」という理念の1つとして、今年4月から本社よりグループホテルの正社員に対して月2万円の給与のアップが行われました。コロナでダメージを受け、厳しい状況のホテル業界の中で、思い切った決断でしたが、この時期に実行することで、社員の安心にもつながると理解していますし、会社からホテルを預かる立場の私としても素晴らしい判断だと思っています。
    「良い人財を採用したいなら、良い会社にしよう」と人事部門のスタッフとよく話しています。よい人財が成長できる環境を整え、好循環を生み出していきたいです。
    新型コロナ禍でこの2年は大変な打撃でした。ただ、50年というスパンでみると50年の中の2年です。ホテルや観光業界は、自然災害、政治情勢、パンデミックなどあらゆるリスクを拾ってしまうビジネスです。良いときも、苦しいときもありますが、苦境のときにどのような対応を行うか、また未来に向けてどのような準備ができるかが大事だと考えています。私たちは、アフターコロナに向けて今全員でがんばっています。

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    17歳の自分に伝えたいことがありますか?

    17歳の自分に甘い言葉はかけられないですね。
    振り返ってみると小学生の時に野球部の監督からかけられた「何事も一所懸命が基本」という言葉が自分を支え、座右の銘にもなっています。その言葉の本質、重要性を知ったのは社会人になってからなので、17歳の自分には、改めて監督からいただいた言葉を思い出してほしいと、声をかけたいです。

    今の高校生には自分のポテンシャルを大きく捉えて欲しいと思います。
    もし希望ではなかった進路や、就職先へ進んでも、まずはそれを好きになるため努力をすること。目の前の事を一所懸命に取り組むことで、新たな自分の才能や道筋が見えてくることもあります。環境や状況に左右されずに一所懸命に物事に取り組むマインドはかならず将来に活きてくると思います。